レイシャルメモリー後刻
第13話 その輝きは永遠に 14


 ヤーラはフフッと息で笑うとうつむいた。身体から発する光が真っ白く、強くなってくる。
「お願い。抱きしめてくれる?」
「いいよ」
 律儀に答えてから、グレイはヤーラを抱き寄せた。腕に力を込めると、細いからだが胸にすっぽりと収まる。ふう、と息を吐いたヤーラの身体が、少しずつ光に溶けていく。
「私はあなたが好きだけど、あの人たちもだし。あなたがいなくなったら、あの人たちにも損害だものね。残しといてあげる」
「ありがとう」
 グレイが苦笑して言った言葉を復唱するようにヤーラの声が胸に響き、ヤーラを包み込んだ光と一緒に消えた。ヤーラがいなくなり、シンとした懺悔室の空間が広く感じる。
「……、寂しいじゃないか」
 グレイはそうつぶやくと、吹っ切るように顔を上げ、思い切り深呼吸をした。ヤーラはシャイア神の元に行けたのだろう、よかったと思う。でも、本当にもう少し早く出会えていたら、生きて楽しい時間を過ごせたのではないだろうか。
 その思いを断ち切ろうと、グレイは首を横に振った。ヤーラの気持ち自体が惚れ薬のせいなら、生きていようが死んでいようが、どちらも無い方がいいに決まっている。これがシャイア神の決めた道なら、ヤーラにとって最良だったと思いたい。
「シャイア様を疑ったこと、お許しください」
 グレイは、シャイア神の決めた道が最良だとしても、それでもヤーラに生きていて欲しかったと思う気持ちに気付いていた。ここが懺悔室の神殿裏側だと思い出して苦笑する。
「後ほど改めて懺悔にうかがいます」
 グレイはそう口にしながら、ヤーラを包んで消えた虹色の光を思い出していた。
 講堂側の扉が開いた。男が一人、ひどく暗い表情で入室してくる。それでもこの人は生きていて、ここに来てくれたのだ、それだけでこんなに幸せに思えるのは、ヤーラのおかげだろうとグレイは思った。
「どうか私の話を聞いてください」
「うかがいましょう」
 グレイはいつものように、その言葉を男に返した。

☆おしまい☆

※wandererさまのリクエストで書かせていただきました。ありがとうございました。m(_ _)m

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