レイシャルメモリー後刻
第15話 三度あることは四度ある 2


 思いっきり怪しがられているけど、落ち着け私。まず、王子は撤回。王子様はこんな言葉遣いはしないもの。姫様もいきなり王子もどきを突き飛ばすって、やっぱり姫様じゃないのかもしれない。あ、もしかしてこれも先入観?
「風に乗って旅をするんです。そういう体質にできているんです」
 正直な説明に向けられる疑わしげな視線が痛い。どう説明したらいいんだろう。誰もいないところに降りられればいいけど、誰かいるときは大抵いつもこう、……、だっただろうと思う。それが当たり前だと思うけれど、打ち解けられない時間って、もったいないと思うのよね。四人の中で一番懐柔しやすそうなのは……、姫様かな。
「決して怪しいモノではないんです。悪意とかありませんから」
 私は祈るような気持ちで、姫様に訴えた。
「もしかして、妖精みたいなモノかしら」
「あ! そうです、それです。人間ですけど、そんな感じです。ほら、一目瞭然、武器も持っていませんし」
 視線を合わせた姫様が助け船を出してくれたと思ったけれど、当の姫様は何だか悲しそうな表情をしている。
「あ、あの、どうかされました?」
「いえ、気になさらないでください」
 そう言ってわずかな笑みでうなずくと、姫様は上げた視線を王子もどきに向けた。軽く眉を寄せたその表情は、もしかして拗ねてる? 姫様と視線を合わせていた王子もどきの目が、急に大きく見開かれた。
「は? ちょっ、ちょっと待て、不可抗力だ!」
 駆け寄った王子もどきに、姫様が背を向ける。
「いや、視線のど真ん中に裸で落ちてきたら、どうしたって見えてしまうだろ」
 そうか、この姫様は王子もどきが私の裸を見たからって拗ねちゃったってわけね? 私だって不可抗力なんですけど。
「リディアだって見ただろ? って、一体どこから落ちてきたんだ」
「そうやって、はぐらかすのね……」
「や、はぐらかすも何も、この場合は見たとかそんなことより、その娘が誰なのかが問題なんだと、思って……、ない?」
「だってこの方の、とても綺麗なんだもの」
 この方の? その、の、って何。
「もう、どうして胸が見えちゃうことばかり何度も……」
 なんだ、胸。……、って、ええ? 胸? しかも何度も? 私は思わず姫様のショールを胸の前でしっかり合わせ直した。
「そんなに何度もあったっけ」

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