レイシャルメモリー 4-04
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二階廊下のまっすぐ先は、オープンな階段の手すりが見える。その先の空間は、食堂と応接室を兼ねたような広い部屋だ。突き当たり、階段ホールから見下ろすと、正面の壁の中央にある出口の左側に、布張りのゆったりとした柔らかそうなソファーが向かい合わせに置かれているのが見える。階段を下りた部屋の右側は、二十人ほどが一度に食事をとれそうな大きさの木のテーブルと椅子が占領していた。階段を下りきると、階段上からは見えないその真下に飾り棚が置かれ、奥にある台所や風呂、その先は祭壇、神殿正面へと繋がる廊下が見える。
その廊下から、部屋に数人の兵士がパラパラと入ってきた。あとからサーディとスティアも姿を見せる。階段を駆け下りてきたユリアがサーディとスティアに気付き、涙のこぼれた頬を隠して頭を下げ、すれ違うように廊下に消えていった。サーディとスティアは顔を見合わせる。
「泣いてた? どうしたんだろうな」
「上で何かあったのかしらね」
スティアは、ユリアが駆け下りてきた階段を興味深そうに見上げた。そこにバックスに連れられたリディアが見え、スティアは嬉しそうに手を振り呼びかける。
「リディア!」
リディアはスティアに笑みを返すと、少しテンポを上げて階段を下りた。リディアは階段下にいた兵士に、そのままの笑顔で軽く頭を下げ、その横を通ってスティアに駆け寄る。リディアの後ろから降りてきたバックスが、その兵のにやけた顔に笑いをこらえながら、下がっていいよと指示を出した。兵士はハイッと勢いよく敬礼をして、他の兵たちと引き上げていく。スティアはリディアのまわりをキョロキョロと見た。
「ティオは?」
「部屋でいびきをかいて眠っているの。疲れたんでしょうね」
微笑みを浮かべたリディアに、たまにはいないのもいいモノねとスティアが笑う。バックスは、布張りのソファーにリディアとスティアを導き、一歩下がった位置に立った。
「よぉ」
サーディが、階段の途中にいるフォースとグレイに手を挙げた。グレイはサーディに微笑んで見せる。
「どういう風の吹き回し? ヴァレスにまで出てくるなんて、よく許可がおりたね」
グレイはそう言うと、サーディの側まで行って手を取り握手した。サーディは苦笑を返す。
「いや、シャイア神が降臨しているからだろう。そうでもないと、ここまでの許可はおりないよ」