レイシャルメモリー 2-05


「大きいから使えるんですよ。窓の風よけに使ったり、赤ちゃんの産着に仕立てたり。アリシアさんなんてシーツにするって言ってましたし」
 ユリアの楽しげな声に、サーディは思わずブッと吹き出した。
「な、なんか。うわ、想像しちゃうよ」
 その言葉に、エッ、と短く声を発すると、ユリアは頬を赤らめて両手で顔を隠す。サーディは慌てて両手をユリアに向けて振った。
「ごっ、ゴメン! つい。い、いや、たださ、薄くて透ける布でも用意して、フォースが中で何をするか見てやろうとか思っ……」
 いつの間にかキョトンとした顔で見つめられていたことに気付き、サーディは肩をすくめて舌を出す。
「あぁ、やっぱり悪趣味だよね、ゴメン」
「分かります、それ」
「そうだよね、って、ええ?!」
 サーディは、ユリアの言葉に意表をつかれ、目を見張った。ユリアはコクンとうなずき、笑みを向けてくる。
「私も見たいです。可愛いでしょうね、リディアさん」
 リディアの名前を聞いて、サーディは絞り出したようなグレイの声を思い出した。もしかしたらリディアのことを好きなのだろうかと勘ぐる気持ちがよみがえってくる。
 懺悔をしに行くと言ったグレイは、今何を考えているのだろうと思うと、不安が溢れてきた。
「何かあったんですか?」
 顔に出てしまったのだろう、ユリアが心配そうに眉を寄せる。
「俺、グレイにとって辛いことばかりしてしまっているから」
 サーディの言葉に、ユリアは不思議そうな視線を向けてきた。
「そうなんですか? グレイさん、いつもと変わりなく笑っていましたけど」
 グレイは元から感情を表に出すことはあまり無い。ユリアに分からなかったとしても仕方がないだろう。
「グレイが誰を好きなのか知ってる?」
「シャイア様ですよね」
 ユリアの表情が変わらない即答に、グレイはむしろ本当の気持ちを隠しているからこそ、そう答えているのではないかと、サーディは思った。
「それ、本当なのかな」
「分かりません。でも、神職に携わっているのですから、嘘ではないと思います」
 そういう言い方をすれば、確かにそうなのだろう。サーディは苦笑した。
「君も、シャイア様が好きなんだ」
「ええ。……」
 ユリアの視線が、自然といつもフォースがいた場所に向く。
 サーディの視線に気付いたのか、ユリアは慌ててその席から目をそらした。そのしぐさが、そして一途にフォースを想う気持ちが、愛しいと思う。ユリアがフォースを好きでも、やはり自分はユリアを好きなのだ。

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