脇道のない迷路 7-1


 この時期、前線から帰ってきている騎士は、ほとんどが称号授与式に参加する。リディアを襲った奴らはこの会場にいた。鎧はやはり奴ら自身のモノだったのだ。
 こうして見ていると、普通の騎士に見える。だが中身は別だ。奴らはただの罪人なのだ。このまま国の鎧を着せておくなんて許せない。
 奴らが俺に気付いた。顔色が変わる。そりゃそうだ、今なら俺の目も濃紺に見えるだろう。
「お前、ルーフィスの!」
 一人が声を上げ、もう一人が振り向いて驚きの表情を見せる。
「覚えてろって言ってましたよね」
「で? お父さんに言いつけたってわけだ。とんだお笑いぐさだ」
 父の名を叫んだ奴が、俺に向けて鼻で笑った。その言葉に、俺は思いきり嘲笑を向ける。
「そんなことしたら、ケンカもできないじゃないですか」
「やろうってのか? 俺たちと? いい度胸だ」
 どこで見ていたのか、俺の後ろからバックスが慌てて駆けつけてきた。仲間が増えたかと、奴らは腹立たしそうにこちらをにらみつけてくる。
「フォース! なにやってるんだ!」
 息を切らせたバックスを振り返らず、俺は奴らに視線を据え続けた。
「見つけたんだ。黙ってられるか!」
「間違いないのか?」
 バックスは、中位と下位の鎧の奴らを交互に見た。
「俺はこの目で見ているんだ。間違いない」
 俺は一瞬だけバックスに視線を向けた。目の色が見えたのだろう、バックスは狼狽している。
「お前! その目の色!」
「うるさいな。俺の父はルーフィスっていうんだ。十九の兄なんていないけどな」
 バックスはプッと短く笑った。
「母さん?」
「うるさい!」
 思わず叫んでから、俺はバックスに下がっているように言い、奴らに向き直ってその距離を縮めた。
「お待たせしてすみません。あなた達の本性を知っている人間は、一人でも少ない方が安心でしょう? 剣の練習をしませんか? その方が何かと都合がいいんだろうからな!」
 その言葉に触発されたのか、いきなり一人が剣を抜きざま斬りかかってきた。切っ先の左に身体をかわして、剣を抜きながらその柄で相手の手の甲を思い切り打つ。その手を離れた剣は、少し離れた地面に突き立った。剣は剣身だけが武器じゃないのに。バカな奴。
「剣の練習って、礼に始まって礼に終わるんじゃなかったでしたっけ」
 奴らの動きをうかがいながら土から剣を抜き取り、俺は持っててとバックスに放った。呆気にとられてみていたバックスは、足元に剣が落ちる音で我に返り、慌ててそれを拾っている。剣をとばされた奴は、殺気立った顔を俺に向けたまま横に下がった。

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